ブラウザ標準の部品
以前は JavaScript ライブラリが必要だったモーダル、メニュー、ツールチップ、 アコーディオンの多くを、いまのブラウザは標準の要素と属性で実現できます。そのため、 サーバーで描画するコンポーネントでも、まずマークアップとして組み立てられます。
以下の例では <dialog>、popover 系の属性、<details> を使います。ブラウザの機能で
あることは変わりませんが、.pw.html 内で書くときは 4 つのテンプレート規則が
関係します。標準機能だけでは必要な操作性やアクセシビリティを満たせない場合は、
クライアント側のライブラリを選んでください。
<dialog> はトップレイヤー、バックドロップ、Esc での閉じ、そして
showModal() を使えばダイアログ内へのフォーカス移動と、それ以外のドキュメントの
不活性化まで面倒を見ます。どれも自分で実装するものではありません。
export component DeleteButton(id: string, title: string): html {<button type="button" command="show-modal" commandfor="confirm-delete">削除</button>
<dialog id="confirm-delete" class="confirm"> <form method="dialog"> <p>「{title}」を削除しますか?</p> <button value="cancel">キャンセル</button> </form> <form method="post" action="/tasks/delete"> <input type="hidden" name="id" value={id}> <button type="submit">削除</button> </form></dialog>}フォームが 2 つ、結果も 2 つです。method="dialog" は何も送信せずにダイアログを
閉じ、押されたボタンの value を returnValue に記録します。もう一方は普通の
POST でページを離れます。戻ってきたときにダイアログが消えているのは、ドキュメント
そのものが新しいからです。確認フローに状態もスクリプトも要りません。
id をパスではなく hidden フィールドで運んでいるのは、action が URL 属性だから
です。string を差し込むと生成エラーになり、求められる型は url です。ハンドラで
その値を組み立てる手もありますが、すでにあるフォームには hidden フィールドのほうが
たいてい手数が少なく済みます。
command="show-modal" と commandfor は、これを宣言的に開きます。この組は 2025 年に
各エンジンへ入ったばかりなので、まだ持っていないブラウザが実際に使われています。
どこでも動く必要があるボタンなら、従来のやり方で開いてください。
<button type="button" data-opens="confirm-delete">削除</button>document.addEventListener('click', (event) => { const id = event.target.closest('[data-opens]')?.dataset.opens; if (id) document.getElementById(id)?.showModal();});委譲したリスナ 1 つで、サイト上のすべてのダイアログを —— あとから swap で入って きたものも含めて —— 賄えます。読み込み時に要素へ結びつけるのではなく、クリック時に 対象を解決するからです。
非モーダルのダイアログが欲しいのでない限り、show() ではなく showModal()
(あるいは command="show-modal")を使ってください。フォーカスを移し、背景を
不活性にするのはモーダル形式だけです。
ポップオーバー
Section titled “ポップオーバー”ポップオーバーは同じトップレイヤーの仕組みからモーダル性を抜いたもので、 スクリプトはまったく要りません。
<button popovertarget="account-menu">アカウント</button><nav id="account-menu" popover class="menu"> <a href="/profile">プロフィール</a> <a href="/settings">設定</a> <form method="post" action="/logout"><button type="submit">ログアウト</button></form></nav>既定の popover(popover="auto" と同じ)はライトディスミスします。外側の
クリックや Esc で閉じ、別の auto ポップオーバーが開けばこれも閉じます。メニューが
欲しがるのはまさにこの振る舞いで、ドロップダウンライブラリがコードの大半を費やして
いるのもここです。
| 値 | 閉じる条件 | 向いているもの |
|---|---|---|
popover / popover="auto" |
外側クリック、Esc、別の auto が開く |
メニュー、ドロップダウン、開閉パネル |
popover="manual" |
明示的に閉じたときだけ | トースト、他所のクリックで消えては困るもの |
popover="hint" |
別のポップオーバーが開く、トリガーがフォーカスを失う | ツールチップ、ホバーカード |
トリガーの動作は popovertargetaction="show" / "hide" / "toggle" で選びます。
既定は toggle です。
ポップオーバーはフォーカスを閉じ込めませんし、ページの残りを不活性にもしません。
メニューにとっては正しい取引で、破壊的な確認にとっては誤った取引です。答えが重い
ときは <dialog> を使ってください。
放っておくとポップオーバーはビューポートの中央に出ます。CSS アンカー ポジショニングは、位置決めライブラリなしでトリガーに結びつけます。
<head><style>.trigger { anchor-name: --account }.menu { position-anchor: --account; position-area: bottom span-right }</style></head>アンカーポジショニングはまだ全エンジンにはないので、強化として扱ってください。
それなしでも使える位置を与えたうえで —— メニューバーの項目なら
position: relative のラッパー内で普通に position: absolute すれば十分です
—— 対応環境では配置がよくなる、という関係にします。
開閉とアコーディオン
Section titled “開閉とアコーディオン”<details name="faq" class="entry"> <summary>マイグレーションはどう適用されますか?</summary> <p>…</p></details><details name="faq" class="entry"> <summary>設定はどこから来ますか?</summary> <p>…</p></details>name を共有すると排他になります。1 つ開けば他が閉じる —— アコーディオンとは
それだけのことです。name がなければ各 <details> は独立で、サイドバーが欲しいのは
たいていこちらです。
パラメータは bool なので、既定で開いているセクションも他と同じくデータです。
export component Section(label: string, expanded: bool, children: html): html {<details class="entry" open={expanded}> <summary>{label}</summary> <slot /></details>}真偽属性は true のときだけ出力されるので、expanded が false なら open 属性は
そもそも書き出されません。
ここで効いてくるテンプレートの規則
Section titled “ここで効いてくるテンプレートの規則”ここまではすべて普通の HTML で、規則の説明を先に必要としたものはありません。それが 変わるのは、このマークアップに欠けている 2 つ —— 自前のスタイルと、繰り返すための リスト —— が加わったときです。以下の 4 つのうち 2 つは生成エラー、1 つは 500、 最後の 1 つは無言で、注意を払うべき順序もそのとおりです。
スコープ付きセレクタにはクラスが要る
Section titled “スコープ付きセレクタにはクラスが要る”コンポーネントのスタイルは、宣言したクラス名を書き換えることでスコープされます。 クラスを含まないセレクタにはスコープする手がかりがありません。これは生成に 失敗します。
selector "dialog::backdrop" has no class to scope; add a class or wrap it in :global()直し方はどちらも 1 行です。スコープを保てる前者を勧めます。
<head><style>.confirm::backdrop { background: rgb(0 0 0 / 0.4) }.confirm[open] { animation: pop 120ms ease-out }.menu:popover-open { display: grid }:global(dialog::backdrop) { background: rgb(0 0 0 / 0.4) }</style></head>::backdrop、[open]、:popover-open、:modal はいずれも使えます。自分が宣言した
クラスにぶら下げる必要があるだけです。@media や @supports のブロックも中身が
同じようにスコープされます。一般規則はスタイリングにあります。
swap される領域のスタイルはページ側に置く
Section titled “swap される領域のスタイルはページ側に置く”コンポーネントの <head> ブロックがドキュメントに届くのはページ経路だけです。
pw.WriteHTMLFragment には合成先の head がないので、寄与を黙って捨てるのではなく
500 で答えます。
したがって swap で届くダイアログは自分のスタイルを連れてこられません。すでにページが 描画したコンポーネントか、共有のスタイルシートで宣言してください。詳細は フラグメントと島にあります。
スクリプト内の中括弧が挿入になることがある
Section titled “スクリプト内の中括弧が挿入になることがある”<script> の中の普通の JavaScript はそのまま通ります。クラス本体も、関数本体も、
オブジェクトリテラルも、ブラウザが実行せずに読むだけの JSON ブロックもです。挿入に
なるのは、中身が式として読める中括弧だけ。そして JavaScript には、それにそっくりな
構文が 1 つあります。
<script type="module">const shorthand = {label};</script>エラーは位置と逃げ道の両方を教えます。
unknown identifier label; this is inside <script> content, where {...} is atemplate insertion. Write {{...}} to keep a literal brace, insert a value withRawJavaScript or JsonForScript, or move the script to a file under the publicasset directoryよく踏むのはショートハンドプロパティで、もう 1 つは文字列リテラルの中の {name}
です。中括弧を二重にすればリテラルのまま残り、本当に値を差し込みたいときのために
スクリプト用の intrinsic が 2 つあります。
<script type="module">const config = {JsonForScript(settings)};</script>型のあるデータには JsonForScript を、固定文字列にだけ RawJavaScript を使って
ください。後者はサニタイザではなく、エスケープ規則は
テンプレートにあります。スクリプトを public/ の下へ
出してしまえばこの問題自体が消えますし、script-src ポリシーが望むのも結局これです。
<script type="module" src="/public/copy-button.js"></script>ここまでの話がまったく及ばない位置が 1 つあります。コンポーネントの <head>
寄与ブロックは内容がそのまま扱われるので、そこに書いた {label} は挿入でも
エラーでもありません。文字列 {label} そのものが、ドキュメントの head に届きます。
ダイアログは行ごとではなく 1 つ
Section titled “ダイアログは行ごとではなく 1 つ”command/commandfor と popovertarget は id で解決します。行ごとに
ダイアログを吐く for ループは、行ごとに同じ id を吐きます。どのボタンも最初の
1 つを開くことになります。
id に行の識別子を与えてください。
{for task in tasks} <li> <span>{task.title}</span> <button type="button" command="show-modal" commandfor="confirm-{task.id}">削除</button> <dialog id="confirm-{task.id}" class="confirm">…</dialog> </li>{/for}あるいは —— 長いリストではたいていこちらのほうがよく —— ループの外にダイアログを 1 つ描画し、それを開く操作に中身を用意させます。 フラグメントのレシピが取っている形です。
アクセシビリティの覚え書き
Section titled “アクセシビリティの覚え書き”showModal()はフォーカスと不活性化を引き受けます。show()とポップオーバーは 引き受けません。ページの残りを使えなくしたいなら、inert属性で組み直すのでは なくモーダル形式を使ってください。<summary>は支援技術にとってすでにボタンです。中にもう 1 つ入れないでください。- 遷移なしに変化する領域は、変化したことを伝えるべきです。
aria-live="polite"を 付けてください。フラグメントと島の swap レシピは これに依存しています。 - アニメーションするものは
prefers-reduced-motionを尊重してください。
作業といえるのは最後の 1 つだけです。残りは <dialog>、<summary>、popover 系の
属性がすでにやっていることの説明であり、同じウィジェットを div とリスナで組み
上げて階段を上がるのではなく、これらの要素を書くべき最大の理由でもあります。
